2026(令和8)年度 昭和文学会 春季大会の開催と発表者募集のお知らせ

【2026年度 春季大会開催のご案内】

2026(令和8)年度昭和文学会春季大会を下記の通り開催いたします。
多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

日時:6月13日(土)午後

会場:亜細亜大学

開催形式:対面とオンラインによるハイフレックス(予定)

特集:〈女性詩〉で問う、〈女性詩〉を問う ― 60年代~70年代 ―

【特集テーマ発表者の募集】

このたび会員各位の発表機会の維持、またそれによる大会企画の一層の多様化、充実化を期して、特集テーマ「〈女性詩〉で問う、〈女性詩〉を問う ― 60年代~70年代 ―」の発表者を広く募集いたします。

企画趣旨文については、以下の「特集テーマ企画趣旨」をご覧ください。
発表は、会場(対面形式)で行うことを前提とします。
多くの方々のご応募をお待ちしています。

※ただし、応募は会員に限ります。

応募受付および締切:

Eメール添付による応募の場合

会務委員会アドレス kaimu@swbg.org

32日(月)2359分締切

郵送による応募の場合

〒101-0064 千代田区神田猿楽町2-2-3 NSビル302 笠間書院内

32日(月)必着

募集人数:1~2名

応募要項:①氏名、②所属、③発表題目、④要旨(1000~1200字)を明記したものを文書作成ソフトもしくは手書きで作成し、お送りください。Eメール添付の場合はPDFファイルに変換をお願いします。

その他:発表は1人30分。当日はシンポジウムがございますが、採択後に登壇の可否をおうかがいすることをあらかじめご了承ください。登壇していただける場合は事前ミーティング等への参加にご協力お願いします。また、旅費の補助はありませんが、非専任の方に限り印刷費の補助(上限3,000円)がございます。なお、発表に際して著作権等の確認はご自身で対応いただき、資料は事前提出をお願いいたします。

問い合わせ先:会務委員会 kaimu@swbg.org

【特集テーマ 企画趣旨】

特集:〈女性詩〉で問う、〈女性詩〉を問う ― 60年代~70年代 ―

 〈女性詩〉はつねに問題含みの名称であり続けてきた。それは女性の詩人たちによる創作をラベリングし、周縁化する枠組みであると同時に、あえてそれを引き受けた詩人たちにとっては、独自の表現を模索するための強力な足がかりともなった。こうした〈女性詩〉について、新井豊美は「女性の詩百年の歴史のなかで最も激しいパラダイム転換の時代を表す記念碑的な名称」(『女性詩史再考』2007年)と位置づけている。現代詩研究の蓄積が進みつつある現在、戦後における女性たちの詩の方向性や〈女性詩〉というカテゴリーとの向き合い方について、学術研究の立場からも検討を加える必要がある。
 〈女性詩〉に大きな動きが生じたのは、青木はるみや井坂洋子、伊藤比呂美らの活躍が目立ち、「女性による女性の詩誌」を掲げた『現代詩ラ・メール』が創刊された1980年代である。こうした「〈女性詩〉ブーム」と言われる80年代の活況を引きおこす前史としての60~70年代に焦点を定めると、女性たちの詩の試みはどのように捉え直すことができるだろうか。
 60年代には富岡多恵子や白石かずこたちが活躍の幅を広げたが、当時の女性詩人たちの創作に対する評価は80年代の〈女性詩〉評価とは様相が異なる。戦後詩の第一世代・第二世代、60年代詩人と、男性中心に展開してきた現代詩の周縁に置かれ、〈女流〉として切り分けられてきた60~70年代における女性詩人たちの詩やその評価を明らかにすることは、一時代のブームでは片付けられない〈女性詩〉という現象の本質を問う上で欠くことはできない。
 特に70年代は、ウーマン・リブ運動などにより女性の個と性の解放が謳われ、社会のジェンダー意識が変容し始めた時期に当たる。現代詩においても、『詩人会議』(1975年)にて「特集・詩に生きる女性たち」が組まれ、その対談「戦前・戦後の女性詩人」では、同時代の女性詩人たちの詩における鮮やかな「時代的新しさ」(浅尾忠男)が議論された。また、山梨シルクセンター/サンリオが刊行した「現代女性詩人叢書」における高田敏子や新川和江たちの採用は、つとに指摘されている通り、いわゆる〈詩壇〉における詩とは別系統の『詩とメルヘン』の詩を創出し、新たな読者獲得に接続されてゆく。こうしたジャーナリズムの戦略が〈女性詩〉に与えた影響を問うことも重要である。
 本特集では、60~70年代の女性詩人たちの詩を対象とすることにより、80年代のブーム以前の〈女性詩〉が置かれた状況を可視化し、それらがいかなる現象であったのかを捉えたい。一口に〈女性詩〉といっても、個々の女性詩人の言語表現や創作方法は様々であり、その多様なあり方に目を向ける必要がある。併せて、ジャーナリズムとの関わり、ジェンダーの問題などを検討するなかで、〈女性詩〉というカテゴリーも自ずと問われることになるだろう。変遷する時代や社会のコンテクストの上で、〈女性詩〉がどのような表現の可能性を見せたのかについて広く議論を行いたい。