『昭和文学研究』目次(第64~86集)
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第86集(2023年3月発行)
・夫婦という関係、夫婦とは別の関係─河野多恵子『草いきれ』『回転扉』論●中村 ともえ
・団地が墓場に変わるとき─後藤明生と生政治●三林 優樹
・生と死の境い目を弛ませる「祭祀」─古井由吉『行隠れ』論●石川 巧
・身体と衣装─季刊同人誌『文体』(一九七七~一九八〇)から考える「文体」●竹永 知弘
・〈内向の世代〉のなかの三枝和子─敗戦三部作をめぐって●高山 京子
【自由論文】
・立原道造にみるモダニズム─抒情性と人工性の接点で●須田 慎吾
・三好達治の四行詩における〈写生〉と〈風景〉─「主客両観」論を手がかりに●武久 真士
・えらくなりたい兵士たち─小島信夫「星」論●泉 渓春
・中上健次「十九歳の地図」論─生活・声・女の性器●亀有 碧
・安岡章太郎『流離譚』の歴史記述─〈私〉たちに生きられた過去●成田 朱凜
・食い破られた「日常」を生きのびる沖縄の「少年」─目取真俊「魚群記」における〈抵抗〉論を再考する●黒沢 祐人
【研究動向】
・内田百閒●山田 桃子
・吉屋信子●木下 響子
・太宰治●野口 尚志
・石原吉郎●田口 麻奈
・角田光代●溝部 優実子
・私小説研究●梅澤 亜由美
【研究展望】
・住井すゑと『橋のない川』●後藤田 和
・『左川ちか全集』を編纂して―開かれたテキストへ●島田 龍
・表現者としての土本典昭●遠藤 邦夫
・渉猟された本の行方●山岸 郁子
【書評】
・十重田裕一著『横光利一と近代メディア─震災から占領まで─』● 黒田 大河
・怪異怪談研究会(監修)茂木謙之介、小松史生子、副田賢二、松下浩幸編著『〈怪異〉とナショナリズム』●西井 弥生子
・松本和也著『文学と戦争 言説分析から考える昭和一〇年代の文学場』●掛野 剛史
・山根龍一著『架橋する言葉 坂口安吾と時代精神』●浅子 逸男
・野村幸一郎著『東京裁判の思想課題─アジアへのまなざし』●水溜 真由美
・廣瀬陽一著『中野重治と朝鮮問題 連帯の神話を超えて』●村田 裕和
・和田敦彦著『「大東亜」の読書編成─思想戦と日本語書物の流通』●西村 将洋
・木村政樹著『革命的知識人の群像 近代日本の文芸批評と社会主義』●位田 将司
・中村三春著『接続する文芸学 村上春樹・小川洋子・宮崎駿』●米村 みゆき
・中川成美・西成彦編著『旅する日本語─方法としての外地巡礼』●鈴木 暁世
・高木伸幸著『井上靖の文学 一途で烈しい生の探求』●綾目 広治
・坪井秀人編『戦後日本の傷跡』●逆井 聡人
・木村小夜著『問いかける短篇 翻案・童話・寓話』●西田谷 洋
・後藤隆基編『小劇場演劇とは何か』●宮内 淳子
・小田島本有著『三浦綾子論 その現代的意義』●長濵 拓磨
・山根由美恵著『村上春樹〈物語〉の行方 サバルタン・イグザイル・トラウマ』● 柴田 勝二
【新刊紹介】
・外村彰編『昭和の文学を読む 内向の世代までをたどる』
・押野武志・田司雄・陳國偉・涂銘宏編著『交差する日台戦後サブカルチャー史』
・田村景子編著 田部知季・小堀洋平・吉野泰平著『文豪東京文学案内』
・怪異怪談研究会(監修)一柳廣孝/大道晴香編著『怪異と遊ぶ』
・神田由美子著『文学の東京記憶と幻影の迷宮』
・和田博文・王志松・高潔編『中国の都市の歴史的記憶 一九世紀後半〜二〇世紀前半の日本語表象』
会務委員会だより/『昭和文学研究』バックナンバーの電子化と公開に向けてのお願い/編集後記
第85集(2022年9月発行)
【論文】
・戦時下における〈人種〉と〈精神〉――久生十蘭「最後の一人」論――●脇坂 健介
・植民者二世の記憶と「故郷」――日野啓三「無人地帯」論――●崔 高恩
・丸山眞男の「である」と「する」/李琴峰『生を祝う』の「自然」と「制度」●佐藤 泉
・高等学校新学習指導要領の問題系――教室の中の「文学」の現在――●木村 功
・「わからなさ」に向き合うこと――新学習指導要領と「国語科」をめぐって●竹本 寛秋
・物語的想像力による共生成――文学の教育的意義――●新井 正人
・文学の授業と近代文学の享受――文豪ブームを還流させる授業の模索――●構 大樹
・目と耳の対立――『夢十夜』「第一夜」の可塑的読解●國部 友弘
・夜闇の蛍と雪の深さ、そして万緑の手触り――国語教育現場における俳句読解の傾向について――●青木 亮人
・「文学」と「受験」――日本統治期台湾の日本語=国語授業からはみだすもの●和泉 司
・〈沖縄〉を教える――沖縄県の国語科副読本をめぐって●村上 陽子
【研究展望】
・「教室」のそとの文学――近代文学と社会教育・生涯教育●島村 輝
・コモンとしての「文学」――教室で批判と思考が成り立つために●竹内 栄美子
・文学は役に立つ教材●山下 真史
・新学習指導要領と中学生、高校生の読書●大橋 崇行
・文学館・記念館の役割(キュレーション)●影山 亮
・アーカイブの行方――近年の芥川龍之介研究から●庄司 達也
・「大江健三郎文庫」(仮称)の未来に向けて●村上 克尚
・石川淳研究の今後に向けて――世田谷文学館新収蔵資料とその可能性について●山口 俊雄
・転向研究の新展開――”TENKO : CULTURES OF POLITICAL CONVERSION IN TRANSWAR JAPAN”の意義●内藤 由直
・佐藤春夫展の台湾開催に関わって●河野 龍也
・『張赫宙日本語文学選集』の刊行意義と今後の研究課題等について●白川 豊
【研究動向】
・山川方夫●大國 眞希
・向田邦子●山口 みなみ
・井上光晴●楠田 剛士
・宇野千代●山田 昭子
【書評】
・新井正人著『鷗外文学の生成と変容――心理学的近代の脱構築』●ブルナ ルカーシュ
・田中優子、小林ふみ子、帆苅基生、山口俊雄、鈴木貞美著『最後の文人 石川淳の世界』●山根 龍一
・泉谷瞬著『結婚の結節点――現代女性文学と中途的ジェンダー分析』●根岸 泰子
・疋田雅昭著『トランス・モダン・リテラチャー 「移動」と「自己(アイデンティティ)」をめぐる芥川賞作家の現代小説分析』●中川 成美
・小林裕子著『佐多稲子――政治とジェンダーのはざまで』●岡野 幸江
・日本近代文学館編『教科書と近代文学 「羅生門」「山月記」「舞姫」「こころ」の世界』●太田 翼
・宇野田尚哉・坪井秀人編著『対抗文化史 冷戦期日本の表現と運動』●橋本 あゆみ
・大木志門著『徳田秋聲と「文学」――可能性としての小説家』●松本 徹
・北川扶生子著『結核がつくる物語 感染と読者の近代』●米村 みゆき
・陳知清著『島崎藤村 「個」と「社会」の相剋を超えて』●中山 弘明
【新刊紹介】
・西田谷洋『物語の共同体』
・川崎賢子『宝塚 変容を続ける「日本モダニズム」』
・千葉一幹ほか編『日本文学の見取り図 宮崎駿から古事記まで』
・吉田昌志・笛木美佳・福田淳子・福田委千代・山田夏樹著『夏目漱石 修善寺の大患前後─昭和女子大学図書館近代文庫蔵 新資料を加えて─』
・森本獲『川端康成の運命のひと 伊藤初代 「非常」事件の真相』
・大野雅子『母恋い メディアと、村上春樹・東野圭吾にみる“母性”』
・下岡友加・柳瀬善治編『『台湾愛国婦人』研究論集─〈帝国〉日本・女性・メディア─』
・細谷博著『漱石最後の〈笑い〉 『明暗』の凡常』
会務委員会だより/第87集〈特集号〉予告/『昭和文学研究』バックナンバーの電子化と公開に向けてのお願い/編集後記
第84集(2022年3月発行) 特集 〈感染〉と文学の百年
【論文】
・巻頭特別インタビュー 「弱者のいない災害」のなかで●平田 オリザ
・「物質」の境域――初期中河與一と衛生理念●加藤 夢三
・「擬人法」という感染爆発(パンデミック) ――宮沢賢治「北守将軍と三人兄弟の医者」と「病」をめぐって●中村 晋吾
・宮澤賢治の感染症文学を読み直す――疫病・戦争・医療の表象を中心に●張 永嬌
・病むこと、看ることの意味――戦中期における結核をめぐって●北川 扶生子
・安部公房の引揚げ体験と〈感染〉●友田 義行
・現代の神話としての安部公房「プルートーのわな」――「沈黙の歌」をどのように聴くのか●山田 夏樹
・一九五〇年代の埴谷雄高における結核と文学●木村 政樹
・〈人新世〉の埴谷雄高――『死霊』とポスト〈人間中心主義〉――●藤井 貴志
・実存的不安からの逃走――砂川文次「臆病な都市」論●長瀬 海
・古き〈芸術〉へのエレジー――探偵小説史における江戸川乱歩「パノラマ島奇談」の位置●松田 祥平
・小林秀雄「一ツの脳髄」論――移動に見る「私」の他者意識の変化――●佐々木 梓
・太宰治「駈込み訴へ」論――ユダの「再帰性」を主軸に――●神村 和美
・太宰治の銃後小説を読む――「弱さ」と「美しさ」の戦争協力――●宮沢 剛
・自意識が筋(プロット)になるとき――中島敦「光と風と夢」論●石井 要
・大江健三郎「人間の羊」論 ――〈法〉の手前の監禁空間●佐久本 佳奈
【昭和文学会・韓国日本学会学術交流協定締結記念講演】
コリアンディアスポラ文学の歴史的・文学史的意味――韓国語訳『火山島』を中心に――●金 煥基
【研究動向】
・遠藤周作●笛木 美佳
・庄野潤三●西尾 宣明
・桐野夏生●種田 和加子
・少女マンガ●押山 美知子
【研究展望】
・沖縄の「日本復帰」を語る言葉を今あらためて読む●新城 郁夫
・コロナ禍と演劇をめぐる思索――早稲田大学演劇博物館の取り組みを視座として●後藤 隆基
・コロナ禍での研究あるいはオランウータン化に逆らって●千葉 一幹
・コロナ禍の徳田秋聲生誕一五〇年――「文豪とアルケミスト」から個人記念館と研究者の役割まで●大木 志門
・没後50年の「川端康成」●三浦 卓
・『台湾愛国婦人』復刻の価値●田中 励儀
・「戦後」の政治的忘却に抗うために――新・フェミニズム批評の会編『昭和後期女性文学論』が提起する視座●天野 知幸
【書評】
・増井真琴著『転向者・小川未明 : 「日本児童文学の父」の影』●藤本 恵
・孫軍悦著『現代中国と日本文学の翻訳――テクストと社会の相互形成史』●尹 芷汐
・曾根博義著『伊藤整とモダニズムの時代』●飯島 洋
・鈴木優作著『探偵小説と〈狂気〉』●谷口 基
・安藤宏・斎藤理生編『太宰治 単行本にたどる検閲の影』●時野谷 ゆり
・綾目広治著『小林秀雄 思想史のなかの批評』●井上 明芳
・曺恩美著『張赫宙の日本語文学――植民地朝鮮/帝国日本のはざまで』●中根 隆行
【新刊紹介】
・真銅正宏著『宮本輝の小説作法 Part 1 ・2 』
・野村幸一郎著『二・二六事件の思想課題』
・森晴雄著『川端康成と佐藤碧子』
・友田義行編『フィルムメーカーズ22 勅使河原宏』
・ハルオ・シラネ他編『〈作者〉とは何か 継承・占有・共同性』
・長谷川啓編『大田洋子原爆作品集 人間襤褸/夕凪の街と人と』
・筒井清忠編『大正史講義【文化編】』
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第83集(2021年9月発行) 特集 特集 饒舌体再考――口語体文学の可能性
【論文】
・物体と風景──埴谷雄高の〈転回〉と花田清輝●渡邊 史郎
・織田作之助とJ・M・シング ――戯曲から小説への転換――●尾崎 名津子
・働き歌と抗争のリズム――小熊秀雄の長篇叙事詩における〈饒舌〉と「韻文精神」――●吉田 恵理
・太宰治の物語芸術―作品集『女の決闘』より●中村 三春
・太宰治の小説における饒舌体の変容●斎藤 理生
・南方徴用作家の自己成型――高見順「ノーカナのこと」●松本 和也
・少女独白体の新展開―― 一九七〇年代以降●押野 武志
・李琴峰の小説における饒舌と沈黙 ――『独り舞』を中心として●倉田 容子
・大衆作家たちの「潤色執筆」――『傷痍軍人成功美談集』の成立と「再起奉公」言説をめぐって●市川 遥
・内田百閒「昇天」論 ――作品内の〈現実〉と〈非現実〉を中心に●松原 大介
・性的体験としての戦時下 ――三島由紀夫「春子」論●本橋 龍晃
・「美しさ」と「暴力」、そして「意思としての痙攣」――川端康成『片腕』をめぐって●神山 奈央
・又吉栄喜「豚の報い」論――物語基点としての〈豚〉と変容する〈御嶽〉●柳井 貴士
【研究動向】
・志賀直哉●上田 穂積
・江戸川乱歩●小松 史生子
・丸谷才一●梶尾文武
・澁澤龍彦●安西 晋二
【研究展望】
・『日本近代文学大事典』増補改訂プロジェクトの意義●中島 国彦
・日本文学研究は日本語で書くのが「正式」なのか?――『流轉的亞洲細語 : 當代日本列島作家如何書寫台灣、中國大陸』について●笹沼 俊暁
・中国の堀田善衞研究とその可能性●陳 童君
・「プランゲ文庫資料」の居場所と当事者性●鈴木 貴宇
・大田洋子の原爆文学にみる今日的意義●長谷川 啓
・「没後○○年」という言説――三島由紀夫の「現在」●藤田 佑
・「戦後文学」の再審――『〈戦後文学〉の現在形』を手がかりに●高橋 啓太
【書評】
・関谷一郎著『太宰・安吾に檀・三島 シドクⅡ』●滝口 明祥
・尾西康充著『沖縄 記憶と告発の文学 : 目取真俊の描く支配と暴力』●小嶋 洋輔
・松本和也著『太平洋戦争開戦後の文学場 : 思想戦/社会性/大東亜共栄圏』●逆井 聡人
・西田谷洋著『女性作家は捉え返す : 女性たちの物語』●長瀬 海
・山中剛史著『谷崎潤一郎と書物』●中村 ともえ
・坪井秀人著『二〇世紀日本語詩を思い出す』●田口 麻奈
・佐藤秀明著『三島由紀夫 悲劇への欲動』●有元 伸子
・山田夏樹著『「ドヤ街」から読む「あしたのジョー」』●守安 敏久
・渥美孝子翻刻・解説『宮本百合子裁判資料 : 「手記」と「聴取書」』●池田 啓悟
【新刊紹介】
・羽鳥徹哉・林武志・原善編『川端康成作品研究史集成』
・秋山駿・原善・原田桂編『三浦哲郎全作品研究事典』
・一柳廣孝著『〈こっくりさん〉と〈千里眼〉・増補版 日本近代と心霊学』
・大橋毅彦著『D・L・ブロッホをめぐる旅 亡命ユダヤ人美術家と戦争の時代』
会務委員会だより/第85集〈特集号〉予告/『昭和文学研究』バックナンバーの電子化と公開に向けてのお願い/「日本学術会議」に対する政治介入に抗議し、会員任命拒否の撤回を求めます。/編集後記
第82集(2021年3月発行) 特集 一九五〇年代──暴力・メディア・身体
【論文】
・物体と風景──埴谷雄高の〈転回〉と花田清輝●渡邊 史郎
・「勤労」の戦中・戦後──『文学サークル』と戦後民主主義──●何 雅琪
・一九五〇年代の上野英信──戯曲・えばなし・物語●茶園 梨加
・“犠牲”をめぐる視差──大西巨人『たたかいの犠牲』における「政治と文学」●杉山 雄大
・芝木好子『洲崎パラダイス』を読む──「廓」をめぐる境界の物語として──●水溜 真由美
・革命の未来に向けて──安部公房『第四間氷期』論──●坂 堅太
・石川淳「影」論──一九五〇年代の現実から可能へ●山口 俊雄
・征服の挫折──小栗虫太郎「紅毛傾城」論──●鈴木 優作
【資料紹介】
・メリーランド大学ゴードン・W・プランゲ文庫所蔵・坂口安吾『二流の人』(九州書房版)関連資料に見る本文生成の過程●尾崎 名津子・大原 祐治
【研究動向】
・佐多稲子●鳥木 圭太
・武田泰淳●藤原 崇雅
【研究展望】
・フィクション論と文学研究の交点●加藤 夢三
・これからの日本近代文学研究における「エコクリティシズム」●澤田 由紀子
・女性文学史の確立──『[新編]日本女性文学全集』(全一二巻)の意義と役割●羽矢 みずき
・『せとうち文学叢書 呉・江田島・芸南編』全八巻を刊行して●外村 彰
・古井由吉・引用・厄災●藤田 祐史
【書評】
・斎藤理生著『小説家、織田作之助』●真銅 正宏
・小平麻衣子編『『文藝首都』──公器としての同人誌』●田口 律男
・一柳廣孝著『怪異の表象空間 メディア・オカルト・サブカルチャー』●山田 夏樹
【新刊紹介】
・北川扶生子著『漱石文体見本帳』
・斎藤理生・杲由美編『新聞小説を考える──昭和戦前・戦中期を中心に』
会務委員会だより/『昭和文学研究』バックナンバーの電子化と公開に向けてのお願い/日本学術会議推薦候補任命拒否問題についての声明/編集後記
第81集(2020年9月) 特集 現代の演劇と文学
【論文】
・現代小説と感情移入の機制――理論的共生としての「演技」の系脈――●坂口 周
・小劇場運動第一世代の言語論と台本――始原の言葉――●劉 夢如
・泉鏡花「通夜物語」の上演――原作者と脚色者の関係をめぐって――●田中 励儀
・伝説から「海神別荘」へ・「海神別荘」から歌劇へ●鈴木 彩
・時代の「総括」の後に――大江健三郎「革命女性(レヴオリユシヨナリ・ウーマン)」論●宮澤 隆義
・テキストとしての戯曲――小説家古川日出男の創作実践――●山本 亮介
・「再話」がつなぐ「感謝する死者」の物語――前川知大の演劇『奇ッ怪』と小泉八雲の「怪談」――●木村 陽子
・「大衆」に読まれるために――一九二六年周辺における大衆文学言説の形成と探偵小説ジャンルをめぐって●松田祥平
・スカイスクレーパーの詩学――北園克衛の建築表象――●高木 彬
・夢野久作「氷の涯」論――「生命」の漂浪――●畑中 千奈
・敗北主義のプログラム――花田清輝「大秘事」論――●加藤 大生
・小説に描かれる株式市場――横光利一「家族会議」と「シェストフ的不安」――●友添 太貴
・眼前のフェンスを〈撹乱〉するために――又吉栄喜「ジョージが射殺した猪」論●栗山 雄佑
【近代文学三学会合同国際研究集会シンポジウム記録】
・比較文学の現在――協会の問題について●エリス 俊子
・双方向的日本文学研究をめざして●小松 靖彦
・アウトバウンド――日本文学と翻訳文化●アン・マクナイト
【研究動向】
・林京子●村上 陽子
・松浦理英子●泉谷 瞬
【研究展望】
・建築と文学の交錯――文学テクストにおける建築表象をめぐって●西川 貴子
・現代韓国文学とフェミニズム●金 ヨンロン
【書評】
・河野龍也『佐藤春夫と大正日本の感性――「物語」を超えて』●金子 明雄
・佐々木亜紀子・光石亜由美・米村みゆき編『ケアを描く 育児と介護の現代小説』●矢澤 美佐紀
・田口麻奈『〈空白〉の根底 鮎川信夫と日本戦後詩』●疋田 雅昭
・浅子逸男『御用!「半七捕物帳」』●牧野 悠
・飯田祐子・中谷いずみ・笹尾佳代編『女性と闘争 雑誌「女人芸術」と一九三〇年前後の文化生産』●岡野 幸江
・内海紀子・小澤純・平浩一編『太宰治と戦争』●三谷 憲正
・中村ともえ『谷崎潤一郎論 近代小説の条件』●日高 佳紀
・村山龍『〈宮澤賢治〉という現象 戦時へ向かう一九三〇年代の文学運動』●信時 哲郎
・構大樹『宮沢賢治はなぜ教科書に掲載され続けるのか』●平澤 信一
・綾目広治『述志と叛意 日本近代文学から見る現代社会』●南富 鎭
・金ヨンロン・尾崎名津子・十重田裕一編『「言論統制」の近代を問いなおすー検閲が文学と出版にもたらしたもの』●大國 眞希
・鳥羽耕史・山本直樹編『転形期のメディオロジー 一九五〇年代日本の芸術とメディアの再編成』●安 智史
・服部徹也『はじまりの漱石――『文学論』と初期創作の生成●』北川 扶生子
・真銅正宏『匂いと香りの文学誌』●小松 史生子
【新刊紹介】
・今井久代・中野貴文・和田博文編『女子学生とジェンダー――女性教養誌『むらさき』を鏡として』
・郡千寿子・仁平政人編『青森の文学世界〈北の文脈〉を読み直す』
・山下直史編『中島敦の絵はがき――南洋から愛息へ』
・廣瀬陽一『日本のなかの朝鮮 金達寿伝』
会務委員会だより/編集後記
第80集(2020年3月発行) 特集 元号と文学
【論文】
・「昭和文学」の輪郭――「元号」が規定したもの/隠蔽したもの●島村 輝
・転向問題の分水嶺としての「昭和三十年代」──吉本隆明と中野重治──●廣瀬 陽一
・元号と文学―天皇制と文学―●綾目 広治
・転形期としての一九八九年と元号問題●坪井 秀人
・「元号」に規定される想像力――アーバンギャルド『昭和九十年』の鑑賞技術――●広瀬 正浩
・切断の諸相――豊島与志雄「近代伝説」論──●河内 美帆
・三島由紀夫「朝倉」論●福田 涼
・吉本隆明の『四季』派批評――批判と”和解”を中心に●安 智史
・解放者の欺瞞――開高健「裸の王様」と創造主義美術教育運動●山田 宗史
・未完の関係性のために――安部公房「人魚伝」論●岩本 知恵
・〈男らしさ〉からの疎外の果てに――安部公房『砂の女』論●片野 智子
・遠藤周作「爾も、また」論――「外国文学者」の異文化認識●木村 友彦
【研究動向】
・戦争詩●林 浩平
・中間小説●小嶋 洋輔
【研究展望】
・一九八〇年代の橋本治●跡上 史郎
・出版オルタナティヴの新世代●山中 剛史
【書評】
・坪井秀人編『戦後日本を読みかえる』●五味渕 典嗣
・太田代志朗・田中寛・鈴木比佐雄 編『高橋和己の文学と思想──その〈志〉と〈憂愁〉の彼方に』●安西 晋二
・黒田俊太郎編『「鏡」としての透谷 表象の体系/浪漫的思考の系譜』●山崎 義光
・宮越勉著『志賀直哉 芸術小説を描き続けた文豪』●永井 善久
・片山倫太郎著『川端康成 官能と宗教を志向する認識と言語』●三浦 卓
・中川成美・村田裕和編『革命芸術プロレタリア文学運動』●竹内 栄美子
・信時哲郎著『宮沢賢治「文語詩稿 一百篇」評釈』●大塚 常樹
・水溜真由美著『堀田善衛 乱世を生きる』●陳 童君
・目野由希著『日本ペン倶楽部と戦争――戦前期日本ペン倶楽部の研究』●山本 亮介
・大石沙都子著『堀辰雄がつなぐ文学の東西 不条理と反語的精神を追求する知性』●飯島 洋
・千葉一幹著『現代文学は「震災の傷」を癒やせるか──3・11の衝撃とメランコリー』●松村 良
【新刊紹介】
・日本近代文学会関西支部編集委員会編『〈異〉なる関西』
・綾目広治著『西川徹郎研究叢書 第1巻 惨劇のファンタジー 西川徹郎 十七文字の世界藝術』
・康潤伊・鈴木宏子・丹野清人編著『わたしもじだいのいちぶです 川崎桜本・ハルモニたちがつづった生活史』
・岡村知子・榎木久薫・佐々木友輔編著『戦後NHK鳥取放送局 ローカルラジオドラマ脚本集』
・倉敷市・薄田泣菫文庫調査研究プロジェクトチーム編『薄田泣菫読本』
・高木伸幸編『井上靖未発表初期短篇集』
・大木志門・掛野剛史・高橋孝次編『水上勉の時代』
・筒井清忠編『昭和史講義【戦前文化人篇】』
会務委員会だより/編集後記
第79集(2019年9月発行) 特集 〈異界〉のコード─ジャンル創造の力学─
【論文】
・内田百閒の〈異界〉的空間とジャンルの融解――その室内空間の表象を中心に――●副田 賢二
・異界をつむぐ――屋根裏・絵本・語る声――●種田 和加子
・映画『砂の器』における異界●横濱 雄二
・「愛国」に覆われる世界――道徳教育としての「少年講談」――●大橋 崇行
・北條民雄が読んだ宮沢賢治――「移化」する風景、「いのち」を継ぐもの――●中村 晋吾
・人間のいない世界――中島敦文学における〈絶滅〉の問題系――●石井 要
・鏡の中で響く声――川端康成『雪国』が求める女への応答の未完性――●平井 裕香
・野溝七生子――産む身体をめぐるイメージの闘争――菊地 優美
【資料紹介】
・大城立裕と上海――沖縄県立図書館蔵大城立裕未発表原稿「月の夜がたり」――柳井 貴士
【研究動向】
・伊藤整●尾形 大
・大岡昇平●花﨑 育代
・宝塚●竹田 志保
【研究展望】
・『大江健三郎全小説』と大江研究●服部 訓和
・村上春樹研究の現況と可能性●石田 仁志
・〈一九六八年〉をめぐる書物・映画・展覧会●守安 敏久
・児童メディアの100年●藤本 恵
【書評】
・金ヨンロン著『小説と〈歴史的時間〉 井伏鱒二・中野重治・小林多喜二・太宰治』●岡村 知子
・松本和也著『日中戦争開戦後の文学場 報告/芸術/戦場』●越前 谷宏
・五味渕典嗣著『プロパガンダの文学 日中戦争下の表現者たち』●川崎 賢子
・渡邊澄子著『植民地・朝鮮における雑誌 『国民文学』』●小泉 京美
・勝又 浩著『山椒魚の忍耐 井伏鱒二の文学』●前田 貞昭
・高橋秀太郎・森岡卓司編『一九四〇年代の〈東北〉表象――文学・文化運動・地方雑誌』●水溜 真由美
・長谷川啓著『家父長制と近代女性文学 闇を裂く不穏な戦い』●矢澤 美佐紀
・早澤正人著『芥川龍之介論 ――初期テクストの構造分析――』●小谷 瑛輔
【新刊紹介】
・木村小夜著『ままならぬ人生 短編の扉を開く』
・松本徹著『松本徹著作集② 三島由紀夫の思想』
・日高佳紀・西川貴子編『建築の近代文学誌 外地と内地の西洋表象』
・中島敦著『中島敦『李陵・司馬遷』注解篇』
会務委員会だより/編集後記
第78集(2019年3月発行) 特集 〈日本語文学〉の問題圏
【論文】
・昭和文学、日本文学、日本語文学、そして…… ――一九九〇年代以降の研究状況をふりかえる――●波潟 剛
・『少女の友』に見る台湾表象――「新八景」シリーズに他者像を探す――●宮内 淳子
・日本語書物の越境――漢口兵站図書館「つはもの文庫」を例として――●中野 綾子
・「日本語」でフィクションを書くという格闘――マチネ・ポエティクと大岡信をつなぐ線――●西岡 亜紀
・「半日本人」を繋ぐ――森崎和江の詩学――●佐藤 泉
・「達人(adept)」としての日本語俳句――ポストコロニアル台湾の日本語作家・黄霊芝の方法――●下岡 友加
・天皇・ホームレス・浄土真宗――柳美里『JR上野駅公園口』試論――●山﨑 正純
・日本語文学の汽水域――日系ブラジル文学の現在――●杉山 欣也
・ジャンル意識の政治学――昭和初期「科学小説」論の変転と帰趨――●加藤 夢三
・「はったり」を編む――安部公房『榎本武揚』試論――●河田 綾
【資料紹介】
・神奈川近代文学館所蔵・川端康成関係未翻刻書簡一八〇通●深澤 晴美
【研究動向】
・井伏鱒二●滝口 明祥
・視座としての横光利一●小林 洋介
・鉄道と文学●田中 励儀
・現代短歌●葉名尻 竜一
【研究展望】
・地方紙の総合的調査を――横溝正史『雪割草』発掘から感じたこと●山口 直孝
・「文豪ストレイドッグス」と文学館のコラボについて――中原中也記念館を例として――●池田 誠
【書評】
・陳童君『堀田善衞の敗戦後文学論――「中国」表象と戦後日本――』●渡邊 ルリ
・小谷瑛輔著『小説とは何か?――芥川龍之介を読む』●藤井 貴志
・西田谷洋著『村上春樹のフィクション』●服部 徹也
・石川巧著『幻の雑誌が語る戦争『月刊毎日』『国際女性』『新生活』『想苑』』●森岡 卓司
・高木伸幸著『梅崎春生研究 戦争・偽者・戦後社会』●高橋 啓太
・千葉俊二著『文学のなかの科学 なぜ飛行機は「僕」の頭の上を通ったのか』●中沢 弥
・長濵拓磨著『遠藤周作論 「歴史小説」を視座として』●小嶋 洋輔
・横手一彦著『戦後文学成立期に関する研究』●茶園 梨加
・清水潤著・怪異怪談研究会編『鏡花と妖怪』●種田 和加子
・竹田志保著『吉屋信子研究』●鬼頭 七美
・福田淳子著『川端康成をめぐるアダプテーションの展開――小説・映画・オペラ』●三浦 卓
・山本亮介著『小説は環流する――漱石と鷗外、フィクションと音楽』●真銅 正宏
【新刊紹介】
・山崎眞紀子ほか編『女性記者・竹中繁のつないだ近代中国と日本 一九二六~二七年の中国旅行日記を中心に』
・山口直孝編『大西巨人――文学と革命』
・森晴雄著『再生の文学・室生犀星――晩年と初期の作品群』
・松本徹著『松本徹著作①徳田秋聲の時代』
会務委員会だより/中国日本文学研究会との姉妹学会締結について●和田 博文/編集後記
第77集(2018年9月) 特集 クィア・リーディングとは何か
【座談会】
・クィア・リーディングとは何か──読む・闘う・変革する──●清水 晶子・垂水 千恵・中川 成美/(司会)飯田 祐子・武内 佳代
【論文】
・クィア・セクシュアリティを読むことの可能性──谷崎潤一郎「秘密」から江戸川乱歩「屋根裏の散歩者」へ──●久米 依子
・「彼等もどうやらさうした二人らしいのであつた」──梶井基次郎『ある崖上の感情』を読む──●新城 郁夫
・断片化に抗う──『ナチュラル・ウーマン』受容史とクィア・リーディングの行方●倉田 容子
・出向者のクィア・リーディング──伊藤計劃『虐殺器官』と津村記久子「十二月の窓辺」──●泉谷 瞬
・「からだ」を笑う/「からだ」が笑う──小島信夫の戦後初期小説──●佐藤 貴之
・詩的言語と国家の原理──吉本隆明と自立派における詩学的批評──●梶尾 文武
・錯綜する引用と声/文字の重なり──伊藤比呂美「叫苦と魂消る」をめぐって──●福尾 晴香
・浸潤する中国語──現代日本作家と漢文脈の回帰──●笹沼 俊暁
【研究動向】
・時代小説(戦前)●原 卓史
・津島佑子●井上 隆史
・歌謡曲●水川 敬章
【研究展望】
・『昭和戦前期プロレタリア文化運動資料集』から見えてくるもの●村田 裕和
・創造的営為としての怪異怪談研究を「開く」ために●茂木 謙之介
【書評】
・尾崎名津子著『織田作之助論 〈大阪〉表象という戦略』●斎藤 理生
・高橋啓太著『「文学」の倫理と背理─戦後文学再検討の視座─』●山﨑 正純
・奥山文幸編『蓮田善明論—戦時下の国文学者と〈知〉の行方』●西村 将洋
・村上克尚著『動物の声、他者の声 日本戦後文学の倫理』●小嶋 知善
・柴田勝二著『私小説のたくらみ 自己を語る機構と物語の普遍性』●藤村 耕治
【新刊紹介】
・南富鎭著『松本清張の葉脈』
・井上隆史編『津島佑子の世界』
・片山宏行著『菊池寛随想』
・川口隆行編著『〈原爆〉を読む文化事典』
・熊代正英・綾目広治編『柴田錬三郎の世界』
・野村幸一郎編『松井石根 アジア主義論集』
・和田博文・徐静波・兪在真・横路啓子編『〈異郷〉としての日本 東アジアの留学生がみた近代』
・小平麻衣子編『文芸雑誌『若草』 私たちは文芸を愛好している』
・河野至恩・村井則子編『日本文学の翻訳と流通 近代世界のネットワークへ』
【2018年度昭和文学会春季大会 昭和文学会・台湾日本語文学会 姉妹学会締結記念 国際シンポジウム 東アジアの日本文学研究の可能性と課題】
・基調講演 台湾日本語文学会と、台湾の日本文学研究●賴 振南
会務委員会だより/編集後記
第76集(2018年3月発行) 特集 〈代替歴史〉の想像力
【論文】
・『大菩薩峠』と岡千代彦の「自由活版所」─印刷工とアナキズムのネットワーク─●紅野 謙介
・夢野久作「犬神博士」試論─夢の大殺陣─●谷口 基
・谷崎潤一郎『聞書抄』論─歴史小説の中の虚構─●中村 ともえ
・所有と欲望─「歴史小説」としての「桜の森の満開の下」─●大原 祐治
・堀田善衛『時間』論─歴史と実存─●野村 幸一郎
・〈偶然〉の歴史叙述―花田清輝「狐草紙」論─●加藤 大生
・大岡昇平「将門記」と反- 代替歴史的想像力●立尾 真士
・歴史をあざむく陰のわざ─柴田錬三郎と山田風太郎の忍法小説─●牧野 悠
・代替歴史の欲望に抗う─中上健次『異族』の一側面─●浅野 麗
・代替歴史と情報ネットワークの時代─クロスオーバー小説としての『屍者の帝国』─●吉田 司雄
・在日文学雑誌『ヂンダレ』における「擬態」─中野重治「雨の降る品川駅」のサークル受容の一側面─●萬田 慶太
・一九三五年における中村光夫の文学史観─社会認識と文学論をめぐって─●木村 政樹
・「慰安婦」と小説─語り得ぬ記憶の表現をめぐって─●宮沢 剛
【資料紹介】
・藤沢市文書館「葛巻文庫」を通して、芥川龍之介研究の基盤を探る●小澤 純
【研究動向】
・ダダと文学●加藤 邦彦
・川端康成●片山 倫太郎
・挿絵と文学●諸岡 知徳
・佐藤春夫●遠藤 郁子
【研究展望】
・新しい広場を作る―新刊の作家論集をめぐって─●宮内 淳子
・国語科教育と文学教材の未来●野中 潤
・経済専制とグローバル化時代の日本語文学●渡邊 英理
【書評】
・新・フェミニズム批評の会編『昭和前期女性文学論』●狩野 啓子
・中山弘明著『溶解する文学研究─島崎藤村と〈学問史〉』●黒田 俊太郎
・山田夏樹著『石ノ森章太郎論』●西田谷 洋
・大橋毅彦著『昭和文学の上海体験』●石田 仁志
・黒田大河著『横光利一とその時代 モダニズム・メディア・戦争』●十重田 裕一
・西原大輔著『日本人のシンガポール体験―幕末明治から日本占領下・戦後まで』●河野 龍也
【新刊紹介】
・西田谷洋編『あまんきみこの童話を読むⅡ』
・紅野謙介・大木志門編『21世紀日本文学ガイドブック⑥ 徳田秋聲』
・堀井弘一郎・木田隆文編『戦時上海グレーゾーン 溶融する「抵抗」と「協力」』
・守安敏久著『寺山修司論 バロックの大世界劇場』
・半田美永著『近代作家の基層 文学の〈生成〉と〈再生〉・序説』
・細川周平編『日系文化を編み直す 歴史・文芸・接触』
・乾英治郎著『評伝 永井龍男―芥川賞・直木賞の育ての親―』
・山田奨治編著『マンガ・アニメで論文・レポートを書く 「好き」を学問にする方法』
会務委員会だより/台湾日本語文学会との姉妹学会締結について●一柳廣孝/編集後記
第75集(2017年9月発行) 特集 ツーリズムと文学
【論文】
・「ツーリズム」のゆくえ─歌枕的文化と〈案内記〉─●小関 和弘
・トラベル・ライティングという機構─文学とツーリズム─●中川 成美
・「文学散歩」論─文学研究者による観光・ツーリズムのために─●土屋 忍
・隆起する「欧州紀行」─横光利一のパリ体験─●中井 祐希
・〈案内記〉から消えゆくもの─昭和二〇年代の浅草と復興─●能地 克宜
・戦争の中の観光─松本清張『象の白い脚』─●久保田 裕子
・沖縄・海洋博の爪痕─大城立裕『華々しき宴のあとに』をめぐって─●村上 陽子
・「ある唯物論者」の科学観─横光利一『上海』と二〇世紀物理学─●加藤 夢三
・一九四七年・大西巨人のスタートライン─ヒューマニズムへと展開する我流虚無主義の精神─●杉山 雄大
【資料紹介】
・水上勉宛田中英光書簡18通─水上勉資料の中から─●大木 志門・掛野 剛史・高橋 孝次
【研究動向】
・世界文学●塩野 加織
・文学賞●和泉 司
【研究展望】
・テロルの未決算─大江健三郞「政治少年死す」ほか─●坪井 秀人
・「漱石全集」の終わりと文学の未来●松下 浩幸
・震災・ゴジラ・原発●松村 良
【書評】
・廣瀬陽一著『金達寿とその時代 文学・古代史・国家』●南富 鎭
・滝口明祥著『太宰治ブームの系譜』●石川 巧
・李先胤著『21世紀に安部公房を読む 水の暴力性と流動する世界』●波潟 剛
・杉岡歩美著『中島敦と〈南洋〉─同時代〈南洋〉表象とテクスト生成過程から─』●西原 大輔
【新刊紹介】
・金井景子・楜沢健・能地克宜・津久井隆・上田学・広岡祐著『浅草文芸ハンドブック』
・片山宏行・山口政幸監修、若松伸哉・掛野剛史編集『菊池寛現代通俗小説事典』
・千葉俊二・銭暁波編『谷崎潤一郎 中国体験と物語の力』
・日本社会文学会編『社会文学会の三〇年─バブル経済 冷戦崩壊 3 ・11』
・小谷野敦・深澤晴美編『川端康成詳細年譜』
・千田洋幸・宇佐美毅編『村上春樹と二十一世紀』
・竹内瑞穂+「メタモ研究会」編『〈変態〉二十面相─もうひとつの近代日本精神史』
・一柳廣孝監修、今井秀和・大道晴香編著『怪異を歩く』
・高綱博文・石川照子・竹松良明・大橋毅彦編『戦時上海のメディア 文化的ポリティクスの視座から』
・野村幸一郎著『京アニを読む』
・綾目広治著『柔軟と屹立 日本近代文学と弱者・母性・労働』
・宇野田尚哉・川口隆行・坂口博・鳥羽耕史・中谷いずみ・道場親信編『「サークルの時代」を読む 戦後文化運動研究への招待』
・五味渕典嗣・日高佳紀編『谷崎潤一郎読本』
・坂井セシル/紅野謙介/十重田裕一/マイケル・ボーダッシュ/和田博文編『川端康成スタディーズ─21世紀に読み継ぐために』
会務委員会だより/編集後記
第74集(2017年3月発行) 特集 〈マルクス主義〉という経験
【論文】
・浮遊の表象─近藤東と「カタカナ」詩の問題を中心に─●鈴木 貴宇
・〈転形期〉の混沌(カオス)から─小林多喜二と小樽の若き〈マルクス主義〉者たち─●島村 輝
・文体と〈マルクス主義〉─初期・太宰治におけるテクスト様式の成立─●中村 三春
・アフリカからアジアをみる─日中戦争期の保田與重郎とマルクス主義民族論─●西村 将洋
・横断する作家像─山本有三像の流通とその行方─●平 浩一
・孤独なマルクス主義者の彷徨─花田清輝「ルネッサンス的人間の探究」の一断章─●菅本 康之
・プロレタリア文学から戦後文化運動へ─中野重治・本多秋五・花田清輝─●竹内 栄美子
・大江健三郎「死者の奢り」におけるサルトル受容─粘つく死者の修辞(レトリック)─●高橋 由貴
・〈起源〉のシミュレーション─坂口安吾「保久呂天皇」の射程─●山路 敦史
・著作物の問題から再考する井伏鱒二『黒い雨』事件─記録/文学としての『重松日記』─●大木 志門
・越境の産物に触れること─茅野裕城子「韓素音の月」論─●泉谷 瞬
・柳美里『8月の果て』における非-「本名」─創氏改名の陰としての号と源氏名─●康 潤伊
【研究動向】
・宇野浩二●増田 周子
・尾崎翠●川崎 賢子
・高見順●小林 敦子
・野間宏●橋本 あゆみ
【研究展望】
・〈戦後文学ブームの余波〉の黄昏に佇んで─文学研究の商品的価値のゆくえ─●金子 明雄
・作家研究と年譜─『川端康成詳細年譜』を刊行して─●深澤 晴美
・産官学民が協働する「場」に関わって─『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集』全三巻完結─●庄司 達也
【書評】
・立尾真士著『「死」の文学、「死者」の書法 椎名麟三・大岡昇平の「戦後」』●関塚 誠
・梶尾文武著『否定の文体 三島由紀夫と昭和批評』●柴田 勝二
・能地克宜著『犀星という仮構』●須田 久美
・安西晋二著『反復/変形の諸相 澁澤龍彥と近現代小説』●水川 敬章
・飯島洋著『虚構の生 堀辰雄の作品世界』●渡部 麻実
・飯田祐子著『彼女たちの文学 語りにくさと読まれること』●生方 智子
・大木志門著『徳田秋聲の昭和 更新される「自然主義」』●梅澤 亜由美
・北川秋雄著『佐多稲子研究(戦後篇)』●鳥木 圭太
・木村功著『病の言語表象』●川津 誠
・林廣親著『戯曲を読む術 戯曲・演劇史論』●松本 和也
・矢澤美佐紀著『女性文学の現在 貧困・労働・格差』●小林 美恵子
・副田賢二著『〈獄中〉の文学史 夢想する近代日本文学』●大原 祐治
【新刊紹介】
・奥山文幸著『幻想のモナドロジー 日本近代文学試論』
・有元伸子・久保田裕子編『21世紀の三島由紀夫』
・日本近代文学会関西支部編『作家/作者とは何か テクスト・教室・サブカルチャー』
・西田谷洋編『女性の語り/語られる女性 日本近現代文学と小川洋子』
・山内祥史著『若き日の日野啓三 昭和二十年代の文業』
・尾崎翠フォーラム実行委員会編『尾崎翠を読む 講演編Ⅰ、講演編Ⅱ』
・尾崎翠フォーラム実行委員会編『尾崎翠を読む 新発見資料・親族寄稿・論文編』
・西日本女性文学研究会編『西日本女性文学案内』
・倉敷市編『倉敷市蔵 薄田泣菫宛書簡集 文化人篇』
・中村三春編『映画と文学 交響する想像力』
・二瓶浩明著『佐伯一麦研究参考文献目録』
・森晴雄著『川端康成『掌の小説』論 「雪」「夏の靴」その他』
・佐藤公一著『小林秀雄のリアル 創造批評の《受胎告知》』
・真銅正宏著『触感の文学史 感じる読書の悦しみかた』
会務委員会だより/編集後記
第73集(2016年9月発行) 特集 詩歌と昭和
【論文】
・前衛詩/初期アナキズム詩における〈グロテスク〉―〈フラン・ヴィタール〉としての『夜から朝へ』―●村田 裕和
・〈こわれた〉街・〈騙り〉の街への遠近法― 神戸発・昭和詩始動期の詩人たちの仕事 ―●大橋 毅彦
・「汽罐車」のシンフォニー―山口誓子の俳句連作について―●青木 亮人
・北園克衛『円錐詩集』論―〈抽象映画〉およびシュルレアリスムとの関わりから―●大川内 夏樹
・一九四七年の思惟―「荒地」・「肉體」・「桜の森の満開の下」―●宮崎 真素美
・清岡卓行の位置―永遠と歴史の〈逆立〉―●勝原 晴希
・クラインは自ら壺を割るか―吉本隆明『固有時との対話』を読む―●疋田 雅昭
・焼跡を読み替える方法―石川淳「焼跡のイエス」とユートピア―●福岡 弘彬
・坂口安吾「文学のふるさと」と芥川龍之介の遺稿●小谷 瑛輔
・松本清張と「文学」をめぐる言説配置―「小説新潮」から「純文学論争」へ―●吉野 泰平
・「今」を照らす起源の「夏」―島尾敏雄「その夏の今は」論―●安達原 達晴
・分裂する自己、変貌する自己―安部公房『燃えつきた地図』論―●片野 智子
・現代日本語文学の中の「台湾」―津島佑子『あまりに野蛮な』論―●笹沼 俊暁
【資料紹介】
・昭和十一年 詩誌『椎の木』細目●外村 彰
【研究動向】
・火野葦平●掛野 剛史
・開高健●中根 隆行
・伊藤比呂美●跡上 史郎
【研究展望】
・「少女小説」を編む―『少女小説事典』編纂の記録―●久米 依子
・安保法制と社会運動を考える●佐藤 泉
・「国際三島由紀夫シンポジウム2015 」の意義●佐藤 秀明
【書評】
・土屋忍著『南洋文学の生成 訪れることと想うこと』●池内 輝雄
・池田啓悟著『宮本百合子における女性労働と政治―一九三〇年代プロレタリア文学運動の一断面―』●峯村 康広
・村上陽子著『出来事の残響―原爆文学と沖縄文学』●友田 義行
・グプタ・スウィーティ著『平林たい子 社会主義と女性をめぐる表象』●池田 啓悟
・竹内栄美子著『中野重治と戦後文化運動―デモクラシーのために―』●鳥羽 耕史
・日高佳紀著『谷崎潤一郎のディスクール 近代読者への接近』●西野 厚志
・禧美智章著『アニメーションの想像力 文字テクスト/映像テクストの想像力の往還』●米村 みゆき
【新刊紹介】
・大橋毅彦・関根真保・藤田拓之編『上海租界の劇場文化』
・庄司達也編『芥川龍之介 ハンドブック』
・西原大輔編著『日本名詩選』1〜3
・長谷川啓・岡野幸江編『戦争の記憶と女たちの反戦表現』
・松本徹著『三島由紀夫の生と死』
・若杉美智子・鳥羽耕史編『杉浦明平 暗夜日記1941-45: 戦時下の東京と渥美半島の日常』
・外村彰編『高祖保集 詩歌句篇』
・大橋崇行・山中智省編著『ライトノベル・フロントライン1 』
・綾目広治著『教師像―文学に見る―』
・安藤宏著『「私」をつくる―近代小説の試み―』
・野村幸一郎著『日本近代文学はアジアをどう描いたか』
・山内史著『太宰治の『晩年』―成立と出版―』
会務委員会だより/編集後記
第72集(2016年3月発行) 特集 第三の新人
【論文】
・「第三の新人」論―核家族・母・そして受験―●綾目 広治
・「第三の新人」と高度経済成長下の〈文学〉―戦中派・太宰治・純文学論争―●滝口 明祥
・馬になる小説―小島信夫『別れる理由』における男性性からの逃走―●村上 克尚
・戦後性、身体性、「第三の新人」―島尾敏雄と庄野潤三の一九五〇年前後―●西尾 宣明
・劣等兵から見出される「希望」―安岡章太郎『遁走』―●安藤 陽平
・決意の旅―安岡章太郎『アメリカ感情旅行』―●金岡 直子
・遠藤周作論―〈劇〉を生成するトポス―●長濵 拓磨
・吉行淳之介の「私」―昭和三〇年代の吉行淳之介―●小嶋 洋輔
・「××が始まつてから」―小林多喜二「党生活者」論―●金 ヨンロン
・佐多稲子「灰色の午後」論―〈同志的夫婦〉とは何者か―●谷口 絹枝
・〈甘美〉な震災の記憶を語る―堀辰雄「麦藁帽子」論―●宮村 真紀
・日系アメリカ人の日本語文学雑誌「収穫」の世界―一九三〇年代におけるコミュニティ・メディア・女性表象―●北川 扶生子
【資料紹介】
・織田作之助新資料「俄法師」とその周辺●斎藤 理生
【研究動向】
・丸山薫●安 智史
・小林秀雄●石川 則夫
・坂口安吾●福岡 弘彬
・安部公房●木村 陽子
・沖縄文学●鈴木 直子
【研究展望】
・国際的な日本文学・日本語文学研究誌の必要性―『跨境 日本語文学研究』の創刊とこれから―●和泉 司
・個人文学全集とこれからの文学研究―『谷崎潤一郎全集』の刊行に触れて―●千葉 俊二
・〈原稿料〉から見た作家たち―『作家の原稿料』を刊行して―●谷口 幸代
【書評】
・永井善久著『〈志賀直哉〉の軌跡–メディアにおける作家表象』●小林 幸夫
・近藤華子著『岡本かの子 描かれた女たちの実相』●野田 直恵
・森本穫著『魔界の住人 川端康成 その生涯と文学 上・下』●森 晴雄
・綾目広治著『松本清張―戦後社会・世界・天皇制』●中谷 いずみ
・中村誠著『山の文芸誌「アルプ」と串田孫一』●團野 光晴
・井原あや著『〈スキャンダラスな女〉を欲望する―文学・女性週刊誌・ジェンダー』●武内 佳代
・木村小夜著『太宰治の虚構』●大國 眞希
・小松史生子著『探偵小説のペルソナ―奇想と異常心理の言語態』●浜田 雄介
・宮澤隆義著『坂口安吾の未来 危機の時代と文学』●浅子 逸男
・石原深予著『尾崎翠の詩と病理』●中川 成美
・平浩一著『「文芸復興」の系譜学―志賀直哉から太宰治へ』●神谷 忠孝
・松本和也著『昭和一〇年代の文学場を考える 新人・太宰治・戦争文学』●関谷 一郎
【新刊紹介】
・大橋毅彦・趙怡・榎本泰子・井口淳子編『上海租界与蘭心大戯院』
・柴田勝二・加藤雄二編『世界文学としての村上春樹』
・岩淵宏子・菅聡子・久米依子・長谷川啓編『少女小説事典』
・押野武志編著『日本サブカルチャーを読む』
・松崎碩子・和田桂子・和田博文編『両大戦間の日仏文化交流』
・和田博文・黄翠娥編『〈異郷〉としての大連・上海・台北』
会務委員会だより/編集後記
第71集(2015年9月発行)
【論文】
・『得能五郎の生活と意見』における「余談」的方法の水脈―ゴーゴリ・中野重治・伊藤整の系譜―●尾形 大
・声優が朗読する「女生徒」を聴く―声と実在性の捉え方―●広瀬 正浩
・幻灯『松川事件 1951』―社会運動におけるメロドラマ的映像空間の構築―●鷲谷 花
【研究動向】
・小松左京●澤田 由紀子
・小川洋子●山崎 眞紀子
・ミステリー(戦後)●大塩 竜也
【研究展望】
・江戸川乱歩資料の保存と活用―大学における文学アーカイブの一例として―●落合 教幸
・国際シンポジウム「川端康成21世紀再読―モダニズム、ジャポニズム、神話を越えて―」に参加して●紅野 謙介
・ハワイ移民の文学―日米関係史のなかで―●田口 律男
・日本文学の国際化をめぐって●南富 鎭
【書評】
・浅野麗著『喪の領域―中上健次・作品研究』●渡邊 英理
・和田敦彦著『読書の歴史を問う―書物と読者の近代―』●中山 弘明
・張文宏著『佐藤春夫と中国古典―美意識の受容と展開―』●河野 龍也
・和田博文・徐静波・西村将洋・宮内淳子・和田桂子著『共同研究 上海の日本人社会とメディア 1870-1945』●木田 隆文
・中村三春著『フィクションの機構2』●西田谷 洋
【新刊紹介】
・田中励儀編『初稿 山海評判記』
・大本泉・後藤康二・二木文明・北條博史・千葉正昭編『神経症と文学―自分という不自由―』
・真銅正宏著『偶然の日本文学 小説の面白さの復権』
・鈴木貞美著『日本文学の論じ方―体系的研究法―』
・西田谷洋著『テクストの修辞学―文学理論、教科書教材、石川・愛知の近代文学の研究―』
・郡千寿子・仁平政人編著『寺山修司という疑問符』
・奥山文幸著『宮沢賢治論 幻想への階梯』
・日本文学協会近代部会編『読まれなかった〈明治〉―新しい文学史へ―』
・渡邊澄子著『気骨の作家 松田解子 百年の軌跡』
・尾西康充著『戦争を描くリアリズム―石川達三・丹羽文雄・田村泰次郎を中心に―』
・安藤宏著『日本近代小説史』
・勝又浩著『私小説千年史 日記文学から近代文学まで』
・白井ユカリ著『木村曙研究』
会務委員会だより/編集後記
第70集(2015年3月発行)
【論文】
・テロルと、ダダと、オナニーと――記憶のなかのアヴァンギャルド――●野本 聡
・村上春樹「青が消える(Losing Blue)」が消したもの ―「青が消える」と”Losing Blue”―●原 善
【研究動向】
・高村光太郎●長尾 建
・吉本隆明●中村 ともえ
・大西巨人●山口 直孝
【研究展望】
・森敦研究の可能性―生成過程と実地踏査から―●井上 明芳
・文庫の編集をめぐって―泉鏡花の場合―●田中 励儀
・構築と脱構築―『コレクション・モダン都市文化』の完結まで/から―●和田 博文
【書評】
・庄司達也・中沢弥・山岸郁子編『改造社のメディア戦略』●黒田 俊太郎
・川鍋義一著『吉本隆明初期詩篇論―我と我々と―』●疋田 雅昭
・内藤由直著『国民文学のストラテジー―プロレタリア文学運動批判の理路と隘路―』●鳥羽 耕史
・宮坂康一著『出発期の堀辰雄と海外文学―「ロマン」を書く作家の誕生―』●戸塚 学
・位田将司著『「感覚」と「存在」―横光利一をめぐる「根拠」への問い―』●高橋 幸平
・一柳廣孝著『無意識という物語―近代日本と「心」の行方―』●小澤 純
・西田谷洋著『ファンタジーのイデオロギー―現代日本アニメ研究―』●大橋 崇行
【新刊紹介】
・山崎眞紀子著『村上春樹と女性、北海道…。』
・金子幸代編集・解説『小寺菊子作品集』
・中村三春著『物語の論理学 近代文芸論集』
・野村幸一郎著『白洲正子―日本文化と身体』
・倉敷市編著『倉敷市蔵薄田泣菫宛書簡集作家篇』
・一柳廣孝・会津信吾・奥山文幸共編『近代日本心霊文学セレクション 霊を知る』
・越前谷宏・島田昭男・田中励儀・塚越和夫・橋詰静子・矢島道弘編『田中英光事典』
・西田谷洋著『学びのエクササイズ 文学理論』
・増田周子著『1955年「アジア諸国会議」とその周辺―火野葦平インド紀行―』
・西田谷洋編著『あまんきみこの童話を読む』
会務委員会だより/編集後記
第69集(2014年9月発行) 特集 戦争と文学
【論文】
・戦争文学研究を巡る〈環境〉と未来―銃後敗戦文学を一視座として―●竹内 清己
・中島敦における「戦争と文学」●山下 真史
・三好達治と戦争●坪井秀人
・曖昧な戦場―日中戦争期戦記テクストと他者の表象●五味渕 典嗣
・白川渥「崖」―戦時下芥川賞候補作があぶり出す時局の政治力学―●山口 俊雄
・鮎川信夫〈病院船日誌〉論―国家と原罪―●田口 麻奈
・軍隊を描く/法をとらえる―大西巨人『神聖喜劇』・野間宏『真空地帯』比較―●橋本 あゆみ
・笑われ続ける「道化」―坂口安吾「茶番に寄せて」と「勉強記」から―●佐藤 貴之
・武田泰淳「恐怖と快感」論―「精神分析学」批判としての小説―●藤原 崇雅
・寺山修司『長篇小説 あゝ、荒野』論―一九六〇年代の大衆消費社会におけるコミュニケーションをめぐって―●秋吉 大輔
【研究動向】
・内田百閒●西井 弥生子
・芥川龍之介(昭和期)●藤井 貴志
・ユーモア小説●佐藤 貴之
【研究展望】
・戦間期の上海文化表象研究●石田 仁志
・素顔を覗き見る―週刊誌における作家表象●井原 あや
【書評】
・水溜真由美著『『サークル村』と森崎和江―交流と連帯のヴィジョン―』●谷口 絹枝
・木村陽子著『安部公房とはだれか』●波潟 剛
・原卓史著『坂口安吾 歴史を探偵すること』●山根 龍一
・鳥木圭太著『リアリズムと身体―プロレタリア文学運動におけるイデオロギー』●島村 輝
・中谷いずみ著『その「民衆」とは誰なのか―ジェンダー・階級・アイデンティティ』●竹内 栄美子
・広瀬正浩著『戦後日本の聴覚文化 音楽・物語・身体』●加藤 邦彦
・吉田秀樹著『川端康成―東京のシルエット』●小林 洋介
【新刊紹介】
・佐多稲子研究会編『佐多稲子文学アルバム 凛として立つ』
・十重田裕一著『岩波茂雄 低く暮らし、高く想ふ』
・一柳廣孝・久米依子編著『ライトノベル・スタディーズ』
・佐藤公一著『小林秀雄の批評芸術 エクスタシーの哲学』
・鳥羽耕史編『安部公房 メディアの越境者』
・西田谷洋・木村友子・阿部眞緒・坂井柚香・舟橋恵美著『泉鏡花生誕140周年記念論集 幻想の泉鏡花』
会務委員会だより/編集後記
第68集(2014年3月発行) 特集 文学の一九八〇年代
【論文】
・一九八〇年代の大江健三郎による自身の小説の再利用・再生の方法●桒原 丈和
・一九八〇年代メディアと村上春樹――雑誌『BRUTUS』の「ニューヨーク炭鉱の悲劇」――●日高 佳紀
・村上春樹「鏡」のあちら側とこちら側――一九八〇年代から『1Q84』まで ――●跡上 史郎
・演出された「桜の森の満開の下」――野田秀樹のなかの坂口安吾――●葉名尻 竜一
・「絵空事」として考えることの幸福――一九八〇年代アニメーションにみえる地球への郷愁と アニメ・ファンダム ――●米村 みゆき
・「チエホフ」という地下室――尾崎翠「地下室アントンの一夜」をめぐって――●仁平 政人
・〈猥褻〉をめぐる闘争――澁沢龍彥と野坂昭如との対照から――●安西 晋二
【資料紹介】
・坂口安吾全集未収録小説「新伊勢物語」紹介および解題●小林 真二
【研究動向】
・石井桃子●藤本 恵
・安岡章太郎●金岡 直子
【研究展望】
・近代文学研究における論文データベースの現在●岡野 裕行
・このクラスに〈文学〉はありますか――〈文学〉教育を考える――●嶋田 直哉
・昭和文学会(昭和文学研究)のこれまでと今後――昭和・平成文学会への改称如何――●中丸 宣明
【書評】
・鷺只雄著『【評伝】壷井栄』●岩淵 宏子
・滝口明祥著『井伏鱒二と「ちぐはぐ」な近代 : 漂流するアクチュアリティ』●越前谷 宏
・田村景子著『三島由紀夫と能楽――『近代能楽集』、または堕地獄者のパラダイス』●天野 知幸
・梅澤亜由美著『私小説の技法――「私」語りの百年史』●柳沢 孝子
・山田夏樹著『ロボットと〈日本〉――近現代文学、戦後マンガにおける人工的身体の表象分析』●横濱 雄二
・斎藤理生著『太宰治の小説の〈笑い〉』●細谷 博
・久米依子著『「少女小説」の生成――ジェンダー・ポリティクスの世紀』●倉田 容子
・西田谷洋著『新美南吉童話の読み方』●木村 功
【新刊紹介】
・中山弘明著『第一次大戦の〈影〉――世界戦争と日本文学』
・細谷博著『所与と自由――近現代文学の名作を読む』
・坂本正博著『金子光晴「寂しさの歌」の継承――金子直・阿部謹也への系譜』
・鬼頭七美著『「家庭小説」と読者たち――ジャンル形成・メディア・ジェンダー』
・弘前大学教育学部国語講座編『太宰へのまなざし――文学・語学・教育』
・増田周子編『織田作之助と大阪』
・坂口安吾研究会編『坂口安吾 復興期の精神――〈いま〉安吾を読むこと』
・日本近代文学会関西支部京都近代文学事典編集委員会編『京都近代文学事典』
・尾西康充著『小林多喜二の思想と文学――貧困・格差・ファシズムの時代に生きて』
会務委員会だより/編集後記
第67集(2014年9月発行)
【論文】
・国家のための酒、税をめぐる暴力――宮澤賢治「税務署長の冒険」論●中村 晋吾
・昭和三〇年代の和田伝文学が描いた農村女性像――「鰯雲」「風の道」を中心に●椋棒 哲也
・「肖像画家」に託された戦略――三島由紀夫「貴顕」における「芸術対人生」の問題系●新井 正人
・ファシズムに抵抗する語り――大江健三郎「セヴンティーン」における動物的他者の声●村上 克尚
・反芻される「荒地」――継承と批判の六〇年代●宮崎 真素美
【研究動向】
・森茉莉●近藤 華子
・後藤明生●乾口 達司
・石牟礼道子●茶園 梨加
・南方・南洋●土屋 忍
【研究展望】
・作家論、史論、自我論●勝又 浩
・草稿研究/テクスト生成論の行方とデジタルアーカイブ●渡部 麻実
・作家と文学賞――文学の価値はいかに創出されるのか●野中 潤
・在日文学研究の方向性●山﨑 正純
・外地の詩人と詩誌●守屋 貴嗣
・いま、『東北近代文学事典』を編むこと●須藤 宏明
・書誌編纂の現在●二瓶 浩明
【書評】
・名木橋忠大著『立原道造の詩学』●影山 恒男
・渡邊浩史著『中原中也――メディアの要請に応える詩』●二木 晴美
・一條孝夫著『大江健三郎・志賀直哉・ノンフィクション――虚実の往還』●柴田 勝二
・伊藤里和著『夢想の深遠 夢野久作論』●小松 史生子
・宮崎真素美著『戦争のなかの詩人たち――「荒地」のまなざし』●小泉 京美
・中山弘明著『戦間期の『夜明け前』――現象としての世界戦争』●野坂 昭雄
・小嶋洋輔著『遠藤周作論――「救い」の位置』●武田 秀美
・堤玄太著『萩原朔太郎「意志」の覚醒』●栗原 敦
【新刊紹介】
・綾目広治著『反骨と変革――日本近代文学と女性・老い・格差』
・笹沼俊暁著『「国文学」の戦後空間――大東亜共栄圏から冷戦へ』
・和田桂子・松崎碩子・和田博文編『満鉄と日仏文化交流誌『フランス・ジャポン』』
・外村彰著『犀星文学 いのちの呼応――庭といきもの』
・柴田勝二著『三島由紀夫 作品に隠された自決への道』
・中島敦著『中島敦『李陵・司馬遷』図版篇・定本篇』
・近藤圭一・岩津航・西岡亜紀・山田兼士編『福永武彦を語る――2009-2012』
・岩津航『死の島からの旅――福永武彦と神話・芸術・文学』
・樫原修著『「私」という方法――フィクションとしての私小説』
・二瓶浩明著『宮本輝書誌Ⅱ』
・山内祥史編『太宰治の年譜』
・西田谷洋・五嶋千夏・野牧優里・大橋奈依著『メタフィクションの圏域』
・中村三春著『〈変異する〉日本現代文学』
・秦昌弘・半田美永編著『丹羽文雄文藝事典』
・渡邊澄子著『男漱石を女が読む』
会務委員会だより/編集後記
第66集(2013年3月発行)
【論文】
・「トリック」の存在論――坂口安吾『不連続殺人事件』とその周辺――●宮澤 隆義
・祖国に対する愛情のゆれ――張赫宙『嗚呼朝鮮』を中心に――●梁姫淑
・〈他者〉との連帯の可能性に向けて――長堂英吉「黒人街」論――●村上 陽子
・中上健次『紀州 木の国・根の国物語』論――「書くこと」の権力性をめぐって――●須賀 真以子
・「無名」と名づけること――沢木耕太郎と「私小説」――●山内 洋
【研究動向】
・国枝史郎●末國 善己
・村山知義●野本 聡
・阿部知二●黒田 大河
・マンガ●山田 夏樹
・台湾●和泉 司
・福島の文学とその周辺●澤 正宏
【研究展望】
・デジタルとして「よみ」「かき」「のこす」こと●疋田 雅昭
・個人作家研究会に関する私感●大原 祐治
・教育と教科書――「書く」ことによる対話――●河野 龍也
【書評】
・石川巧著『高度経済成長期の文学』●牧野 悠
・和泉司著『日本統治期台湾と帝国の〈文壇〉―〈文学懸賞〉がつくる〈日本語文学〉―』●竹松 良明
・笹尾佳代著『結ばれる一葉―メディアと作家イメージ』●戸松 泉
・友田義行著『戦後前衛映画と文学―安部公房×勅使河原宏』●渡邊 史郎
・安藤宏著『近代小説の表現機構』●山口 直孝
・岡村知子著『太宰治の思想と表現』●山口 浩行
【新刊紹介】
・竹内清己著『臨床の知としての文学』
・田中実・須貝千里編『文学が教育にできること―「読むこと」の秘鑰』
・鈴木登美・十重田裕一・堀ひかり・宗像和重編『検閲・メディア・文学―江戸から戦後まで』
・山口俊雄編『日本近代文学と戦争―「十五年戦争」期の文学を通じて』
・池内輝雄・傳馬義澄編『中村真一郎 青春日記』
・小林裕子著『女性作家評伝シリーズ12 壺井栄』
・関口安義著『芥川龍之介新論』
会務委員会だより/編集後記
第65集(2012年9月発行) 特集 〈不条理〉に対峙する文学
【論文】
・不条理をめぐる論争から――シェストフ論争と『異邦人』論争●綾目 広治
・被爆直下の不条理と情理●横手 一彥
・大岡昇平における〈不条理〉――俘虜・赤十字・カミュ●花﨑 育代
・焼跡で虚構を立ち上げること――敗戦直後から見る石川淳「焼跡のイエス」●若松 伸哉
・自然(ピュシス)の裸形性を生きるテクスト――吉増剛造『裸のメモ』をめぐって●林 浩平
・困難な〈友情〉――吉屋信子「女の友情」論●竹田 志保
・永井龍男「青電車」論――〈知らない〉男・〈わからない〉女●乾 英治郎
・教化される感覚――多和田葉子「犬婿入り」論●泉谷 瞬
【研究動向】
・研究の出発点を振り返って●中島 国彦
・来るべき「文学館学」のために●大木 志門
・日本文学の翻訳出版をめぐって――昭和戦前・戦中期の意味に触れつつ●山本 亮介
・北米の日本文学研究と〈世界文学〉の読者●河野 至恩
【書評】
・守安敏久著『メディア横断芸術論』●葉名尻 竜一
・権田浩美著『空の歌 中原中也と富永太郎の現代性(モダニティ)』●石橋 紀俊
・荒井裕樹著『隔離の文学――ハンセン病療養所の自己表現史』●川津 誠
・笹沼俊暁著『リービ英雄――〈鄙〉の言葉としての日本語』●水谷 真紀
・中村三春著『花のフラクタル 20世紀日本前衛小説研究』●松本 和也
・木村功著『賢治・南吉・戦争児童文学――教科書教材を読みなおす』●平澤 信一
【新刊紹介】
・別所興一・鳥羽耕史・若杉美智子著『杉浦明平を読む ”地域”から”世界”へ――行動する作家の全軌跡』
・永淵道彦著『廃墟の戦後に燃える――アヴァン・ギャルド「火の会」の活動とその軌跡』
・日本近代文学会関西支部・兵庫近代文学事典編集委員会編『和泉事典シリーズ26 兵庫近代文学事典』
・真銅正宏著『近代旅行記の中のイタリア――西洋文化移入のもう一つのかたち』
・一柳廣孝・吉田司雄編著『ナイトメア叢書8 天空のミステリー』
・河野龍也・佐藤淳一・古川裕佳・山根龍一・山本良編著『大学生のための文学トレーニング 近代編』
・葉名尻竜一著『コレクション日本歌人選040 寺山修司』
会務委員会だより/編集後記
第64集(2012年3月発行) 特集 フィクションとしてのローカリティ
【論文】
・「満洲」の白系ロシア人表象――「桃色」のエミグラントから「満洲の文学」まで●小泉 京美
・「田舎者」が〈故郷〉を書き散らすまで――初期太宰文学における〈葛西善蔵〉表象の考察●小澤 純
・西尾正と鎌倉――「ドッペルゲエンゲル」のいる海辺●谷口 基
・一九三八年、拡張する〈文学〉――火野葦平「麦と兵隊」にみる仮構された〈周縁〉の固有性●中谷 いずみ
・帰郷小説としての『縷紅新草』――観光から招魂への転成●秋山 稔
・〈大阪〉という場の機能――織田作之助「世相」を中心に●尾崎 名津子
・〈小説〉の共同性――中上健次『熊野集』〈私小説系列〉をめぐって●浅野 麗
・横光利一「旅愁」と「日本的なもの」の廬溝橋事件前夜――一九三七年の「文学的日本主義」とその「先験」への問い●古矢 篤史
・「雑沓」系列の射程――宮本百合子「雑沓」「海流」「道づれ」と社会主義リアリズム●池田 啓悟
・「自我」探求としての「デカダンス文学」――坂口安吾「デカダン文学論」とその批評性をめぐって●福岡 弘彬
・三島由紀夫「青の時代」の射程――道徳体系批判としての小説●田中 裕也
【研究動向】
・宮沢賢治(散文)●宮川 健郎
・宮沢賢治(韻文)●信時 哲郎
・関西の雑誌メディア●和田 崇
・検閲●時野谷 ゆり
・ルポルタージュ●鳥羽 耕史
【研究展望】
・金星堂からみた昭和文学――文学史と出版史の間●曾根 博義
・キリスト教と昭和文学――遠藤周作『沈黙』を民衆史の視点から読む●尾西 康充
・核と文学●佐藤 泉
【書評】
・小林敦子著『生としての文学――高見順論』●百瀬 久
・村田裕和著『近代思想社と大正期ナショナリズムの時代』●中山 弘明
・小林幹也著『短歌定型との戦い――塚本邦雄を継承できるか?』●日置 俊次
・和田博文著『資生堂という文化装置 1872-1945』●久米 依子
・仁平政人著『川端康成の方法――二〇世紀モダニズムと「日本」言説の構成』 ●石川 則夫
【新刊紹介】
・末國善己著『時代小説で読む日本史』
・立教女学院短期大学図書館編『福田清人・人と文学――「福田清人文庫の集い」講演集』
・木村一信監修・外村彰編『外地の人々――「外地」日本語文学選』
・松本徹・佐藤秀明・井上隆史・山中剛史編『同時代の証言 三島由紀夫』
・日本比較文学会編『越境する言の葉――世界と出会う日本文学』
・柴田勝二著『村上春樹と夏目漱石――二人の国民作家が描いた〈日本〉』
・馬場重行・佐野正俊編『〈教室〉の中の村上春樹』
会務委員会だより/編集後記