2025(令和7)年度 昭和文学会 春季大会の開催と発表者募集のお知らせ

【2025年度 春季大会開催のご案内】

2025(令和7)年度昭和文学会春季大会を下記の通り開催いたします。
多くの皆さまのご参加をお待ちしています。

日時:6月14日(土)午後

会場:東京都立大学 南大沢キャンパス

開催形式:対面とオンラインによるハイフレックス(予定)

特集:「シティ・ポップ」の時代の文学

【特集テーマ発表者の募集】

このたび会員各位の発表機会の維持、またそれによる大会企画の一層の多様化、充実化を期して、特集テーマ「「シティ・ポップ」の時代の文学」の発表者を広く募集いたします。

企画趣旨文については、以下の「特集テーマ企画趣旨」をご覧ください。
発表は、会場(対面形式)で行うことを前提とします。
多くの方々のご応募をお待ちしています。

※ただし、応募は会員に限ります。

応募受付および締切:

Eメール添付による応募の場合

会務委員会アドレス kaimu@swbg.org

33日(月)2359分締切

郵送による応募の場合

〒101-0064 千代田区神田猿楽町2-2-3 NSビル302 笠間書院内

33日(月)必着

募集人数:1~2名

応募要項:①氏名、②所属、③発表題目、④要旨(1000~1200字)を明記したものを文書作成ソフトもしくは手書きで作成し、お送りください。Eメール添付の場合はPDFファイルに変換をお願いします。

その他:発表は1人30分、シンポジウム形式を予定しているため、事前ミーティング等への参加をご協力お願いします。また、旅費の補助はありませんが、非専任の方に限り印刷費の補助(上限3,000円)がございます。なお、発表に際して著作権等の確認はご自身で対応いただき、資料は事前提出をお願いいたします。

問い合わせ先:会務委員会 kaimu@swbg.org

【特集テーマ 企画趣旨】

特集:「シティ・ポップ」の時代の文学

 1970~80年代にかけて流行した「シティ・ポップ」は、主にアメリカのポピュラー・ミュージックの様式を取り入れた大衆音楽のカテゴリーである。近年、「シティ・ポップ」という文化が果たした歴史的な役割が問い直され始めており、柴崎祐二編著『シティポップとは何か』(2022)や日高良祐編『シティ・ポップ文化論』(2024)、平中悠一編『シティポップ短篇集』(2024)などが相次いで刊行されている。こうした「シティ・ポップ」再評価の動きから、文学と関連の深い論点を抽出することができるだろう。
 第一に、1970~80年代におけるアメリカの位置づけである。「政治の季節」の終焉を示すあさま山荘事件のほか、安保自動延長・沖縄返還などにより日米関係を取り巻く環境が大きく変化した。それに応じて、日本の日常生活にアメリカの文化が入り込んで来る。その象徴がアメリカンハウスである。「シティ・ポップ」を牽引した大瀧詠一は、はっぴいえんどの解散記念コンサート『CITY―Last Time Around』(1973)と時を同じくして福生のアメリカンハウスにスタジオを構え、楽曲の録音やラジオ番組『ゴー・ゴー・ナイアガラ』の収録を行った。
 また、片岡義男の短編小説『スローなブギにしてくれ』(1976)を原作とする映画(藤田敏八監督、1981)では、「白いムスタング」を乗り回す男のライフスタイルを象徴する場としてアメリカンハウスが設定されている。同じくアメリカンハウスを舞台とする村上龍『限りなく透明に近いブルー』(1976)のほか、村上春樹『風の歌を聴け』(1979)や田中康夫『なんとなく、クリスタル』(1981)、山田詠美『ベッドタイムアイズ』(1985)といった小説には〈日本でありアメリカでもある場所〉が登場する。
 第二に、都市空間の表象である。「シティ・ポップ」で歌われる都市は「値打ちもない/華やかさに包まれ」た「眠らない夜の街」(大貫妙子「都会」『SUNSHOWER』1977)のような抽象度の高い架空の場所であり、それらの楽曲が収録されたレコードの永井博や鈴木英人によるジャケットにも、どこでもない都市の一端が描かれる。こうした都市表象の特徴は、村上春樹の描いたどこでもない「街」と呼応するのみならず、前述の〈日本でありアメリカでもある場所〉と類縁性を持つといえよう。
 一方、『POPEYE』や『OLIVE』などの特集を実践したかのような1980年代のユースカルチャーを捉えた中森明夫『東京トンガリキッズ』(1987)が『宝島』に連載されるなど、同時代の都市をはじめとする場所の表象のあり方を考えるうえで、雑誌メディアとのかかわりも看過できない。
 本特集では、上記のような複数の視点とその相互関係とを意識化しながら、「シティ・ポップ」の時代という視座によって文学を捉え返す研究を広く募集したい。