【報告】昭和文学会2009年度春季大会

  • 日時 2009年6月20日(土) 午後1時30分より
  • 会場 跡見学園女子大学文京キャンパス 2号館5階M2505教室 *昭和文学会会員以外の方でも、無料・申込不要にて参加できます。特集「文学館の〈いま〉を考える」
  • 開会の辞
    跡見学園女子大学 山崎 一穎
  • 講演
  • 新しい文学館像に向けて
    神奈川近代文学館館長 紀田 順一郎
  • 報告(司会 栗原 敦・山本 亮介)個人作家の文学館から
    三島由紀夫文学館館長 松本   徹

    日本近代文学館の現状と課題

    日本近代文学館事務局長 伊藤  義男

    大阪国際児童文学館廃館にまつわる諸問題

    大阪府立国際児童文学館館長 向川  幹雄
  • 懇親会
    ※ 懇親会を予定しておりますので、皆様ふるってご参加下さい。

[跡見学園女子大学文京キャンパス]
(別ウインドウで跡見学園女子大学へのサイトへリンクします)

報告要旨

個人作家の文学館から

松本 徹

 美術なら美術館、音楽なら音楽ホール、演劇なら劇場といった、社会に開かれた施設が不可欠である。しかし、文学の場合は、本を開く空間があれば足りるといってもよかろう。このため、社会のなかに目に見える形で存在を主張し、公共性のある施設を持つことに、他の芸術とは違う困難がつきまとう。そうしたなかでわずかに持ち得ているのが文学館である。ただし、表現活動の中枢ではなく、資料保存、研究、啓蒙、作家の顕彰などの面にとどまる。そうしたこともあって、経済的余裕がなくなると、真っ先に皺寄せが来るようである。しかし、文学活動を現在ではなく継続なり歴史の層から見ようとするとき、施設の重要性は高くなる。 これまで徳田秋聲記念館(金沢市)、野口冨士男文庫(越谷市図書館)、三島由紀夫文学館(山中湖村)に係わってきたが、それら個人作家の文学館の現状を報告するとともに、そこで考えさせられたことの一端を話そうと思っている。

(三島由紀夫文学館館長)

日本近代文学館の現状と課題

伊藤 義男

 日本近代文学館は、震災や戦災などにより散逸し失われて行く資料を収集・保存し公開できる施設を作ろうという機運の中で設立活動が始まり、文壇・学界・マスコミ界あげての賛同によって一九六三年に財団法人として発足、一九六七年に日本初の近代文学総合資料館として開館しました。当時文学館的な施設は馬籠の藤村記念館など数えるほどでしたが、ここ四半世紀で自治体が競うようにつくるなど数多くの文学館が設立され、規模の大小などはありますが、全国の文学館・文学者の記念館の数は五〇〇を超えるほどになりました。しかし、景気の低迷、財政難などでどこも運営状況は厳しいようです。当館も開館当初は建物ができても到底維持はできまいと懸念されましたが、その後も国や自治体の援助を受けずに、民間の一法人として独力で維持運営しており、一時期を除き厳しい財政状況が続いています。そのような当館の歴史と現状、当面する課題などについてご報告いたします。

(日本近代文学館事務局長)

大阪国際児童文学館廃館にまつわる諸問題(発表メモとして)

向川 幹雄

★府議会、廃館を決議…二〇〇九年三月の議会で、館条例を廃案とし、館を平成二一年度内に廃止、資料は府立中央図書館へ移転、を決議。付帯決議に ①引き続き資料を収集、活用する ②機能を引き継ぐ、があります。それに伴い、必然的に財団への府出資金は引き上げ、館プロパー職員はクビ、図書館職員で運営することになります。★どのような館を目指したか…①児童向き図書・雑誌、研究資料、新聞記事、読書運動パンフレットなどの児童文学関連資料の全てを集め、永久に保存する ②内容を分析し情報を機関・個人に公開する、の二点を目標とし、運営は半官半民によるものとしました。★二四年間の事業展開…児童文学を専攻した専門員と司書、および府派遣事務職員、非常勤職員が事業を担当。十二万点の資料は現在七〇万点に増加、出版された形で保存し、細目やキーワード、内容紹介などをつけて情報を発信。★府があげる廃館理由…指定管理者制度の導入による数的評価、少ない入館者数が問題。橋下知事の文化・医療の切り捨て政策のもと、あがらぬ経済効果→組織が問題。★館の対応策…府出資二億円を一億円に減額する案、入館者数五万人を十万人に増やす努力案を提示。府議会・マスコミへの働きかけ、育てる会を中心にした民間の存続運動。★しかし、廃館を決議 ★私たちは今後、何をするか…将来の再生に備える、そのために資料の保全に努める。現地存続の道を探る:国への移管模索、新しいスポンサー探し、寄贈本返還訴訟。地方に特色ある文化施設を作る必要を世間に訴え、国の補助を訴える。●文化施設に指定管理者制度、経済効果、入館者数、民間運営はそぐわない。●研究資料館機能を前面に出す必要があったのではないか。

(大阪府立国際児童文学館館長)