2024(令和6)年度 昭和文学会 秋季大会の開催と発表者募集のお知らせ
【2024年度 秋季大会開催のご案内】
2024(令和6)年度昭和文学会秋季大会を下記の通り開催いたします。
多くの皆さまのご参加をお待ちしています。
日時:11月16日(土)午後
会場:早稲田大学
開催形式:対面とオンラインによるハイフレックス(予定)
※新型コロナウィルスの感染状況によっては、オンラインのみでの開催となります。
特集:偶像としての文学――信仰と消費の狭間で――
【特集テーマ発表者の募集】
このたび会員各位の発表機会の維持、またそれによる大会企画の一層の多様化、充実化を期して、特集テーマ「偶像としての文学――信仰と消費の狭間で――」の発表者を広く募集いたします。
企画趣旨文については、以下の「特集テーマ企画趣旨」をご覧ください。
発表は、会場(対面形式)で行うことを前提とします。
多くの方々のご応募をお待ちしています。
※ただし、応募は会員に限ります。
応募受付および締切:
Eメール添付による応募の場合
会務委員会アドレス kaimu@swbg.org
8月1日(木)23時59分締切
郵送による応募の場合
〒101-0064 千代田区神田猿楽町2-2-3 NSビル302 笠間書院内
7月31日(水)必着
募集人数:1~2名
応募要項:①氏名、②所属、③発表題目、④要旨(1000~1200字)を明記したものを文書作成ソフトもしくは手書きで作成し、お送りください。Eメール添付の場合はPDFファイルに変換をお願いします。
その他:発表は1人30分、シンポジウム形式を予定、旅費の補助なし、非専任に限り印刷費の補助あり(上限3000円)。
問い合わせ先:会務委員会 kaimu@swbg.org
【特集テーマ 企画趣旨】
特集:偶像としての文学――信仰と消費の狭間で――
世界は無数の像で満ちている。ネット上には有名無名にかかわらず多くの人物やキャラクターの画像・映像が日々更新され、次々に消費される像はときに見る側の心の拠り所として機能する。これを指す「推し」という語はいつしか現代文化を語る際欠くことのできないものとなった。作り出され、享受される「推し」は、現代の偶像である。
その現代の偶像=アイドルは、複製・流通・消費のメカニズムと切り離せない。コンテンツの舞台となった空間への「聖地巡礼」、「文豪」のアニメ・ゲーム化といった商業戦略を思い返せばよい。偉人の肖像やロイヤルファミリーに関する報道、教科書における国民的作家としての権威付けなどもこの範疇で考えられる。視覚要素と深く結びつきながら、羨望や熱狂の対象としての偶像が生成されるのである。また売れる作家の作品こそ崇拝の対象である商業主義において、作家イメージ、広告やメディアミックスを通して作品そのものが偶像化されることも多い。文学を「教養」として扱う言説などは、文学が偶像化されている一例ということもできよう。視覚要素と結びつくという点で、ルッキズムをはじめとする現在的な問題との接点も多分にもっているだろう。
ここで、「偶像」という語の出発点に戻りたい。言うまでもなく、偶像は元来信仰対象をかたどった像=イコンを指す。偶像の源にあるのは聖なる存在の代替として作られた像にあるといわれる。失われた存在への思慕が生んだ像に込められた願いは、常に挫折する運命にある。像はあくまで代替に過ぎず、失われた存在そのものとはなり得ないからだ。だがそうであるからこそ、像は人々の切実な祈りを寄せる具象としてさらなる聖性を獲得した。現代の偶像は、こうした祈りと地続きにあるのではなかろうか。偶像を求めずにはいられない心性、及び社会のメカニズムは、いまなお変わることがない。偶像は、切実な信仰と思惑に満ちた消費との狭間で人々の心を写す像なのである。
本特集は、いまも常に求められ続けている偶像と「文学」の関係について検討を行う。『昭和文学研究』第六〇集(二〇一〇年一二月)では特集「昭和の〈偶像〉」が組まれ、〈偶像〉という言葉で「昭和」という時代に強い影響力を持った「特定の人物表象やキャラクター」が指示された。本特集では偶像を必要とする人々の心性やそれが生み出されるメカニズム、時代状況なども視野に入れる。多くの人々にとって偶像がなくてはならないものとなっている今日、偶像を通して文学そのもの、ひいては文学を取り巻いている状況を相対化し、新たな視座へと繋がる研究を期待したい。